お日さまも笑ってる

「父さん、話があるんだ」
「何だ、改まって」
「父さん…僕は本当に父さんの子なの?」
「ハハハ、何をバカな事を。さぁ、もう寝なさい。」
「バカな事なんかじゃないんだ…」
「…言ってみなさい」
「うちの一家…波、舟、栄螺、若布、鰹…僕だけ、僕だけ魚類なんだ」
「何だそんなことか。それを言ったら栄螺は貝で、若布は海藻だぞ。偶然だ」
「一方、鱒と鱈が親子…これも偶然?」
「そ、それは…」
「そして鰹は…磯の生き物じゃない!」
「…」
「近海の生物なんだ!僕だけ遠いんだよ!栄螺や若布と、生きてる世界が違うんだ!」
「…」
「なんとか言ってよ父さん!」
「…左様」
「!」
「跡継ぎが、欲しくてな…」
「…父さん…!」
「ただ、これだけは忘れんでくれ。近海には波と舟もいることを。お前は決して、一人ではないことを…」
「父さーーん!」
 
 
大きな空を眺めたら
白い雲が飛んでいた
 

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