東川篤哉『ここに死体を捨てないでください! 』

「死んじゃった…あたしが殺したの」有坂香織は、妹の部屋で見知らぬ女性の死体に遭遇する。動揺のあまり逃亡してしまった妹から連絡があったのだ。彼女のかわりに、事件を隠蔽しようとする香織だが、死体があってはどうにもならない。どこかに捨てなきゃ。誰にも知られないようにこっそりと。そのためには協力してくれる人と、死体を隠す入れ物がいる。考えあぐねて、窓から外を眺めた香織は、うってつけの人物をみつけたのであった…。会ったばかりの男女が、奇妙なドライブに出かけた。…クルマに死体を積み込んで。烏賊川市周辺で、ふたたび起こる珍奇な事件!探偵は事件を解決できるのか?それとも、邪魔をするのか?驚天動地のカタルシス。

『烏賊川市シリーズ』の5作目。上記のあらすじに加え、シリーズキャラの私立探偵・鵜飼の元には山田と名乗る女性から依頼の電話があるのだけど、待てど暮らせどやってこない。女性が言っていた「クレセント荘」(温泉つき)に行ってみると、そこに死体を隠し終わった男女が居合わせていて…、という展開。

作者お得意の勘違いドタバタギャグに、周到に伏線を組み入れて、最後にどえらいバカトリックが待っている王道パターン。みんながみんな何か思い違いをしていて、勝手に仮説を立ててるので、最後の方までなんも真実に近づかないという(笑)。

クライマックスは結構ド派手なことになるのだけど、この作者が今までやってきたに比べるとそんなにお馬鹿に見えないというか、結果的にちょうどいい按配に収まった感じ。

1件のコメント

  1. こんにちは。
    同志社大学ミステリ研究会の広瀬と申します。
    東川先生の作品記事を拝見し、
    突然ですが、お知らせさせていただきます。

    今年の6月に我々同志社ミス研は東川篤哉講演会を主催しました。
    その時の講演会録、そして会員による東川先生の全作レビューを
    機関誌「カメレオン」に掲載し、
    11/26~11/28に行われる同志社EVE祭で販売いたします。
    ご都合が合いましたらお越しください。

    また、DMS公式ページでも通信販売を行う予定ですので、
    どうぞそちらもご覧ください。

    http://www.donet.gr.jp/~dms/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?page=DMS+Wiki

    突然失礼しました。

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