9月 092009
「面白きことは良きことなり!」
第20回山本周五郎賞受賞第一作!著者が「今まで一番書きたかった作品」と語る渾身の作。偉大なる父の死、海よりも深い母の愛情、おちぶれた四兄弟……でも主人公は狸?!
時は現代。下鴨神社糺ノ森には平安時代から続く狸の一族が暮らしていた。今は亡き父の威光消えゆくなか、下鴨四兄弟はある時は「腐れ大学生」、ある時は「虎」にと様々に化け、京都の街を縦横無尽に駆けめぐり、一族の誇りを保とうとしている。敵対する夷川家、半人間・半天狗の「弁天」、すっかり落ちぶれて出町柳に逼塞している天狗「赤玉先生」――。多様なキャラクターたちも魅力の、奇想天外そして時に切ない壮大な青春ファンタジー。
作者自ら「毛深い子」というほどに、狸メインのおはなし。狸・天狗・人間の三つ巴のドタバタ劇を楽しんでいると、ふいに訪れる家族愛。これがなんとも目頭を熱くさせ、もう、これが『太陽の塔』を書いた人と同じ人かと思うほど。
なにぶん狸と天狗なので、京都を舞台にした奇想が自由すぎ。人に化け、風を起こし、狸鍋に恐れをなし、船が飛び、街を叡山電車が暴走する。 『夜は短し歩けよ乙女』よりも、やりたい放題やってます。楽しいなぁ。
そんな様々な騒動で京都の街を縦横無尽に駆け回る「動」と、時に回想で挟まれる家族話の「静」が、森見登美彦独特の飄々とした文体で編まれていき、なんともいい塩梅のエンターテイメントの仕上がり。シリーズ化されるとのことで、これは見逃せないですね。
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