7月 162009
- 著者/訳者:森見 登美彦
- 出版社:新潮社( 2009-06-27 )
- 文庫:323 ページ
- ISBN-10 : 4101290520
- ISBN-13 : 9784101290522
- 定価:¥ 500
京の骨董店を舞台に現代の「百物語」の幕が開く。注目の俊英が放つ驚愕の新作。細長く薄気味悪い座敷に棲む狐面の男。闇と夜の狭間のような仄暗い空間で囁かれた奇妙な取引。私が差し出したものは、そして失ったものは、あれは何だったのか。さらに次々起こる怪異の結末は―。端整な筆致で紡がれ、妖しくも美しい幻燈に彩られた奇譚集。全4篇。
森見・イン・ザ・ダークネス。『夜は短し歩けよ乙女』などで見せる、真面目な顔でおどける仕草はなりを潜め、真顔でひたひたと綴られる怪異の連続。あの想像力が怖い方向に向かうとこんな形になるのか、とゾーっとしつつ読んでいました。
気配というか、直接見えないけど何かある…という描写が特に印象的で、それは狐の面をかぶって立っている男であったり、先の見えない取引であったり、遠くで聞こえる水音であったり、現れては消える”胴の長いケモノ”であったりする。特に”胴の長いケモノ”は全篇通して裏にいる存在で、これがタイトルの『きつねのはなし』にも返ってくるのだけど、とにかくケモノを見た者をおかしな方向に導いていくのだ。すべて理詰めで解決しないのも余韻が残り、不思議な読後感につながる。
他の作品ではあんなに明るかった京都が、何を考えてるかわからない暗い街となって読者を待ち受ける。梅雨明けの夏空と対照的な一冊。
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vol.31「 きつねのはなし 」森見 登美彦
京都を舞台とした、四編の物語。薄暗く怪しい気配に満ちた奇譚集です。
物語のあちこちで登場する「ケモノ」とは、一体何なのか。骨董屋は一体何者なのか―
読み進むうち、四編が細…