三津田信三『山魔の如き嗤うもの』

ひっくりかえしすぎ!

忌み山で人目を避けるように暮らしていた一家が忽然と消えた。「しろじぞうさま、のーぼる」一人目の犠牲者が出た。「くろじぞうさま、さーぐる」二人目の犠牲者―。村に残る「六地蔵様」の見立て殺人なのか、ならばどうして…「あかじぞうさま、こーもる」そして…。六地蔵様にまつわる奇妙な童唄、消失と惨劇の忌み山。そこで刀城言耶が「見た」ものとは…。

前作『首無の如き祟るもの』が、30を超える謎を”たった一つの事実”でどんどんひっくり返していくものだったけど、今作も負けず劣らずの一点突破ぶり。ただ、前作よりも複雑さが増していて、あげく解決編では執拗なまでに解決をひっくり返していくので、すごいんだけど読み終わるともうヘトヘトである。

ホラー要素と謎解き要素を併せ持ち、細かい伏線をいくつも紛れ込ませ、30人近い登場人物の関係をさばき、40近い謎に全て解決を持たせ、胃もたれするほどのどんでん返しを設ける…。徹底している。徹底しているからこそ評価が分かれそう。すごいわぁと思うけど、ちょっと人に薦めづらい。

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