横山秀夫『震度0』

閉ざされた空間での心理戦。たどる結末は、震度ゼロの衝撃。

阪神大震災のさなか、700km離れたN県警本部の警務課長の不破義人が失踪した。県警の事情に精通し、人望も厚い不破がなぜ姿を消したのか? 本部長の椎野勝巳をはじめ、椎野と敵対するキャリア組の冬木警務部長、準キャリアの堀川警備部長、叩き上げの藤巻刑事部長など、県警幹部の利害と思惑が錯綜する。ホステス殺し、交通違反のもみ消し、四年前の選挙違反事件なども絡まり、解決の糸口がなかなか掴めない……。

6人の警察幹部の視点をザッピングしながら、警務課長をめぐる心理戦が展開される。有力情報を秘密にしたり、命令にこっそりそむいたり、実は全然違うこと考えてたりと、視点をグルグル変えることで6人の権力争いが立体的に見えてくる。

舞台は警察署内部と官舎しかなく、演劇っぽい感じでもある。読者は外部から箱庭の中の大騒ぎを眺めてる状況で、かつ次々と新しい情報が来るものだからずっと目が離せない。うまいなぁ。官舎ではそれぞれの幹部の奥さんも登場して、奥さん同士の心理戦もあるのだ(警察幹部よりドロドロしてる!)

もう一つのポイントとして、この事件は阪神大震災の日に起こったという設定になっている。テレビで震災の激しさを見ながらも、目の前の権力争いにやっきになる幹部達。その対比に、箱庭の戯れの感が増す。

あんなにいろいろグルグルやったのに、十分衝撃な結末も用意されて、大満足の一冊。WOWOWで映像化もされていて、原作よりよかったという声も。これも観たいなぁ。

ウォーリーにWALL・Eのキャッチコピーをつける

ディズニーの新作映画『WALL・E』。人類が地球を去ってから、700年の間ゴミを処理し続けているロボットの話らしい。

しかし英語表記ならまだしも、カタカナで「ウォーリー」と書かれてしまうと、どうしてもあの赤と白のストライプのシャツを着た、みんなに探される男が浮かんでしまう。

ひょっとしたら相乗効果でまたブームになるかも。試しにウォーリーにWALL・Eのキャッチコピーをつけてみた。

4577020823 名前は、ウォーリー。
700年間、ひとりぼっち…。

何歳なんだ、というツッコミはあれど、あんまり違和感ないなぁ。一人旅だし…。
 
 
(追記)
ウォーリーとWALL・Eを調べてたら、こんな本が出てた。

4062656620
ウォーリーとなかまたちをさがせ! ウォーリー (Look&FindBook)

最新映画「ウォーリー」の絵探しブック。 ゴミ処理ロボットのウォーリーといっしょに未来の世界をのぞいてみよう! 今まで見たことのないふしぎなものがいっぱいあるよ! ぜんぶ、さがしだせるかな?

完全に意識してるじゃないか!

金城一紀『レヴォリューションNo.3』

『GO』『SP』の金城一紀がもつシリーズ「ザ・ゾンビーズ・シリーズ」の第1弾。眩しい。眩しすぎる。

君たち、世界を変えてみたくないか?
オチコボレ高校に通う「僕」たちは、三年生を迎えた今年、とある作戦に頭を悩ませていた。厳重な監視のうえ強面のヤツらまでもががっちりガードするお嬢様女子高の文化祭への突入が、その課題だ。

「レヴォリューションNo.3」「ラン、ボーイズ、ラン」「異教徒たちの踊り」短編3本を収録。文庫の装丁だとアホバカ高校生みたいだけど、本編はもっと不良で暴力的でハードボイルド。喧嘩もすれば悪巧みもする。テンションMAXで暴れまくる。

一方、メンバーそれぞれの個性を生かしたトラブルシューティングがとても気持ちいい。女子高への突入、カツアゲされた金の奪還、ストーカー退治といった難題に、これぞといった気の利いた解決をもってくる。

暴力と知力のバランスが絶妙で、かつキャラ立ちも十分(”史上最高の引きの弱さ”山下の爆笑エピソードは一読の価値あり!)十代の衝動とブレーキとを鮮やかに描ききっております。オススメ!

不便は慣れると習慣になる

不便は慣れると習慣になり、何が不便がわからなくなる。

自動改札に分厚い財布をギューッと体重かけて押し当てて通過しているおじさんがいたのである。

もう、自動改札機に乗らんばかりの勢いだった。ひらりと飛び越えるのかと思った。でもそうではなくて、おそらく財布にSuicaを入れたんだけど、普通に自動改札に当てても通れなくて、なんだこりゃとあれこれ試行錯誤した結果があのギューッなんだと思う。通れた!これだ!

いやいやいや!もっとSuicaを外側に入れれば済むのに!と思うのだけど、もうあのギューッで通れることがわかったので、あのおじさんはずっとそのままなんだと思う。人間、習慣になってしまうと何が不便かわからなくなってしまう。何の疑いもなく通っていた道を、他の人に「あっちの方が近いのに!」と言われて初めて遠まわりだったことに気がつく、みたいな。

そういえば最近ちょっと薄手のコートを買ったのだけど、これがまぁ便利。以前は厚手のコートしかなくて、ちょっと寒くなっても厚いのを着るまでがなく、かといってスーツだけでは寒く、我慢して我慢して厚手のコートの出番を待っていたのだけど、薄手のコートを着ればいいのね。なんとまぁ。

この世にはまだまだ僕の知らない便利があるのだと思う。

テレフォンショッキングで前代未聞のお友達紹介をするために

今日のテレフォンショッキングにTBSの安住紳一郎アナが出演していた。他局のアナとしては初めて…と思ったら、1983年に当時の日テレのアナウンサーとして徳光和夫、小林完吾が出たことがあるらしい。

そういえば昨日の中居正広も、いいともレギュラーがテレフォンに出るのは初…と思ったら、過去に明石家さんまと小堺一機がレギュラーなのにテレフォンに出たことがあるらしい。

もう25年以上も続いてると、考えうるイレギュラーが大体つぶされてるんじゃないか。いつの日かテレフォンショッキングが自分に回ってきたときのために、「お友達紹介で過去にすでに行われているイレギュラー(=ボケ)」をまとめておこうと思う。

裏番組に出てる人を呼ぶ
裏で生放送をやってる人をお友達紹介したら…というのは既にやられているんですよね。伊集院光が司会であっという間に終わった『素敵な気分De!』の最終回、せんだみつおから大島さと子に電話がかかってきて、フジ←→TBSの生中継が実現。おそらくこの時が『素敵な気分De!』の最高視聴率だったと思う。
  
友達じゃない芸能人を呼ぶ
これはもはやベタな部類。宣伝とか絡むと結構あるみたい。印象に残っているのは猿岩石で、ユーラシア大陸横断から帰ってきたばかりの彼らには芸能界の知り合いがおらず、なぜか渡嘉敷勝男につないでいた。電話で「はじめまして」って言ってた。
 
一般人を呼ぶ
これは今年のお騒がせ大賞・泰葉がやっちゃってる。番号を間違えて一般の人にかかってしまい、「いいとも!」と答えてしまったので、それから三日間、一般人のテレフォンショッキングが続いたらしい。4人目が出演を拒否して終わったらしい。
 
番組スタッフを呼ぶ
その日に構成作家をやっていた渡辺鐘(=世界のナベアツ)が、FUJIWARAに紹介されたことがある。

海外に行ってる人を呼ぶ
ちょうど海外に滞在している人を呼べば電話もつながらないのでは…と思いきや、過去に国際電話でお友達紹介をかけてたのを観たことがある。誰が誰を紹介したときか忘れたのだけど、国は韓国だったか。
 
タモリを呼ぶ
記憶に新しい、2004年のめちゃイケがメインをはった27時間テレビにて実現。タモリがテレフォンショッキングのゲストで出演し、岡村隆史とトーク(タモリが冬の海に落ちて死にかけた話など)。後日、顔写真パネルもちゃんと貼られていた。
 
死んでる人を呼ぶ
伊集院光が初登場の際、お友達紹介で「笠智衆さんを…」と遠慮がちにひとボケ。「あー、亡くなりました」と応じるタモリ。会場はドン引きであった。
 
もうやりつくされてるなぁ。もう正攻法ですごい人呼ぶしかなさそう(首相とか皇族とかみのもんたとか)さすが25年の歳月、伊達じゃない。
(参考:テレフォンショッキング – Wikipedia