伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』

書下ろし1000枚の本作はまさに「ベスト・オブ・伊坂幸太郎」といったおもむきですよ。政治の闇は『魔王』、親子の絆は『重力ピエロ 』、学生時代の友情が『砂漠』で、殺し屋といえば『グラスホッパー』。これら今まで発表した作品のエッセンスを1つに注ぎ込んだのが、この『ゴールデンスランバー』、と言うぐらいの伊坂全部盛りです。

仙台での凱旋パレード中、突如爆発が起こり、新首相が死亡した。同じ頃、元宅配ドライバーの青柳は、旧友に「大きな謀略に巻き込まれているから逃げろ」と促される。折しも現れた警官は、あっさりと拳銃を発砲した。どうやら、首相暗殺犯の濡れ衣を着せられているようだ。この巨大な陰謀から、果たして逃げ切ることはできるのか? 

逃亡アクションものとしてはまだアイデアを盛り込める余地がありそうで、行き当たりばったりな展開もありますが、この作品の中心は繰り返し使われる「信頼と習慣」という言葉にあるような気がします。普通の人が逃げなければいけない目になったとき、何をどう信じたらよいのか?見えない絆が生む奇跡に心やられます。

リンクも健在で、見落としてる伏線もまだあるような気がするなぁ。読み終わった方は第2章と第3章をもう一度読むことをオススメします。伊坂幸太郎の入門としても、ファンサービスとしても、十二分に耐えうる一冊。タイトルの元になった、ビートルズが聞きたくなってしかたがない。

叩かれるワンセグ

電車に乗っていたら、ケータイをバシバシ叩いている女子を見た。

左手に開いたケータイを持ち、右手でバシバシ叩いてる。なにごと、と思ったら、ケータイからは長いアンテナが伸びており、どうもワンセグを見ようとしているらしい。横から角度を変えながら、険しい表情でバシバシ叩いてる。まさか、映らないのか?

「テレビが映らなくなったら叩く」という昭和のライフハックが、こんな形で現代に蘇るなんて。そんなののび太のママがやることではないか。

結局デジタルもアナログも習慣には全然影響ないのかもしれない。電話の向こうにお辞儀したり、電波が弱いとケータイ振ってみたりするのだ。そしてのび太のママがワンセグを持ったらやはりケータイを叩くだろうとも思う。
 

Wii Fitでいろんなゲームを

大ヒット中とのうわさのWii Fit。あのコントローラー(バランスWiiボード)がすごい気になる。あれで他のゲームができたらいいんじゃないか、と考えてみた。

・マリオブラザーズ
これはできそう。任天堂だし。ネット協力プレイ(という名の対戦)も魅力的。

・バルーンファイト
あの絶妙な空中浮遊を体重移動でやってみたい。

・サーカスチャーリー
綱渡りができるなら他の曲芸もやってみるべき。

・パックランド
体重かければかけるほどダッシュするパックマン。

・ハングオン
バイクにまたがった感じで。
 
・スペースハリアー
弾はオートで。
 
・アフターバーナー
右にずっと体重かけて一気に左に体重かけると自機が回転する。
 

結局セガの体感ゲームになっているではないか。
 
そういえば昔、PS2のDance Dance Revolution 専用コントローラ『I.Q』をやったのを思い出した。踏んで移動して踏んでブロック消して、走って逃げ回る感じがリアルに体感できて、それはそれはヘトヘトでした。
  

山田正紀『阿弥陀(パズル)』

「恋人がエレベーターに乗ったまま戻ってこない」。週末の夜。会社員の男の訴えを聞き、警備員の檜山はビル内を探す。しかしどのフロアにも彼女の姿はない。ビルの外にも出た形跡がない。37台もの監視カメラをかいくぐり、彼女はどこへ消えたのか?

エレベーターを縦棒、フロアを横棒として、ビルを巨大なあみだくじと見立てたタイトル。探偵役はシリーズキャラの風水火那子である。全編通して警備員・檜山の一人称で語られ、舞台もほぼビル内。

地味になりそうな展開を盛り上げるのはビル内の癖のあるテナントたち。消えた女が属していた保険会社、興信所、銀行の分室、果ては新興宗教の道場まである。なんか怪しい人々がなんか隠して過ごしていて、そのなんかが明らかになってみると全然消えた女と関係ない…けど手がかりが増える、という展開で、それはまさにアミダクジの外れを一本一本引いているかのよう。

外れを一本引くたびに仮説がひとつ消えふたつ消え、すると最後に「当たり」の解答のみが残るという、これはまさしく本格パズラーの構図。ちょっと真相はズルーい、って感じもあるのですが、アミダクジの行ったり来たりが楽しい一冊でした。
 

父がmixiをはじめる

父がmixiをはじめた。

父から連絡を受け、マイミクになる。さっそく見てみると、父がはじめての日記をつけている。

「今日から日記をはじめるよ」という出だしから始まり、どんなテンションで書いたものかを探るような文体で最初の日記が綴られている。そして父のバストアップの写真がのっている。

あぁ、父よ、顔を出してはいけないのだよ。インターネットはいろいろあるのだよ。と、嘆いていると、なにやら先にリンクがはられている。

リンク先に飛んでみると、「息子です」の文字と共に、僕の顔写真がのっている。

あーーっ!
 
 
 
…と、ここでハッと目が覚めた(今朝)。

絵に描いたような夢オチ。逆にびっくりした。ちゃんとここで目が覚めるか!と思った。マイミクに父はいなかった。