10月 112006
元広域窃盗犯の寺男・好奇心旺盛の女性記者・トラブルメーカーのバカミス作家が京都の大悲閣千光寺を舞台に、裏(マイナー)京都で事件に巻き込まれまくる『支那そば館の謎』の続編短編集。
どの作品も京都の文化や京都人の人となりをミステリに織り込んでいるのが特徴。例えば表題作は一度は聞いたことがある噂、「京都のお宅にお邪魔して、帰り際に『ぶぶ漬けでもどうです?』と言われたら断らないといけない(お言葉に甘えると『あの人は礼儀知らず』とボロクソ言われる)」という話が核。そんな仕打ち誰もしないらしい(!)のに何でそんな噂が出来たのか?という民俗学的な謎と、グルメな舌の持ち主なのに刺激性の強い毒物で殺害されたフリーライターの事件が見事に融合する手際はさすが。
浪費で吝嗇、いけずで歴史を重んずる。「京都」という都市を一つの閉鎖空間としてミステリに当てはめている本シリーズ。とはいえ気負うことはなく、登場人物たちの軽妙な会話のおかげもあってライトな仕上がり。小料理屋の料理がまたムダに美味しそうなのも見所です。
【この記事と似たような感じの記事】
- 情熱と執念 北森鴻『狂乱廿四孝』
- グッとくる『船越英一郎の京都案内』
- 小京都と京都と大京都と
- やぎさんゆうびんミステリー
- 龍馬テイクアウト
- 麻耶雄嵩『名探偵 木更津悠也』
- 探偵小説研究会『2011 本格ミステリ・ベスト10』に投票しました。
- ミステリさん
- 鳥飼否宇『激走 福岡国際マラソン―42.195キロの謎』
- 「このどんでん返しがすごい!」たった一行で世界が反転するミステリ7選


現在コメント投稿は停止しております。