ここ最近読んだ本『ストレスフリーの仕事術』『紙魚家崩壊 九つの謎』『質問力』『殺意は必ず三度ある』『オリエント急行殺人事件』

しばらく更新してなかったので一気にまとめて。

ストレスフリーの仕事術―仕事と人生をコントロールする52の法則

デビッド・アレン/田口元『ストレスフリーの仕事術』はLifeHackの中心ともなる仕事術に「GTD」という手法があるのですが、この方法がなぜうまくいくかを解説した本。頭でもやもや考えることは、一旦全部紙にだしてスッキリさせる!という狙いがなぜ大事か、というポイントがわかりやすい。忙しくて何から手をつけたものか、と、多くのタスクに追われている人の一つの道しるべにもなるかと。

原題が”Ready for Anything”で、こっちの方が内容に合ってるし何倍もかっこいいんだけど、本屋でパッと見てどっちが手にとられるかというところが問題なんだろうなぁ。

 

紙魚家崩壊 九つの謎

北村薫『紙魚家崩壊 九つの謎』は北村薫久々の短編集。ミステリ短編集、と名乗ってはいるものの、その味は薄め?

というか、高級レストランにいって出てきたモノを食べてみたものの、美味しいのかよくわからなくて、料理人の腕か自身の舌か、どっちを信用したものかなぁともやもやするような、そんな気分。エンタメというよりもはや寓話なのではないのか。一つ言えるのは昔話にミステリ解釈と加えようとする最後の 「新釈おとぎばなし」の一人遊びの空回りぶりがどうにも肌寒かったということ。ノリツッコミは高度な手法なのです。

 

質問力 ちくま文庫(さ-28-1)

斉藤孝『質問力』は古今東西の対談集から「いい質問」の例を取り出しながら、”質問力”の技とはどんなものかを教えてくれる本。そのラインナップたるや、谷川俊太郎、黒柳徹子、村上龍、手塚治虫など豪華ラインナップ。これらの対談のポイントごとを斉藤孝が咀嚼して、一粒で二度美味しい本になっています。

白眉は宇多田ヒカルとダニエル・キイスの対談。当時16歳と72歳の二人が、同じクリエイターとしてわかりあうまで、キイスは巧みに質問で流れを作り、宇多田はそこに狙い通りの賢い回答を返すという、とても見事なキャッチボールが紹介されてます。必見です。

 

殺意は必ず三度ある

東川篤哉『殺意は必ず三度ある』は鯉ヶ窪学園探偵部がドタバタと活躍というかなんというかを繰り広げるシリーズ第2弾。今回は野球部のベース盗難事件から発展した「野球見立て殺人事件」が登場。

もともと野球好きがあちこちの作品に見えていた作者だけに、とても楽しそうな筆致。野球場全体を巻き込んだメインの大トリックが、本格ミステリの箱庭的な面白さを存分に出していてとても好きですね。脇の小さな仕掛けもドタバタに効いていて、小ネタと伏線が絡み合う様子を今回も楽しむことができます。

 

オリエント急行殺人事件

アガサ・クリスティー『オリエント急行殺人事件』は実は未読だったもの。クリスティーを初めとして古典海外はかなり抜けているんですが、オリエント急行はーネタがさーあれなんでしょーというのは知っていただけにあまり読む気がなかったものの一つ。

しかし「そういえば、その真相にいたるまでのプロセスはどうだったんだろう?」というのが気になって、読んでみたらこれがまぁ一気読みですよ。面白いー!証言の矛盾を突いて突いてあそこまでもっていくとは。やはり古典には古典と呼ばれる所以あり。女王に最敬礼。ネタを知ってても十分楽しめますよ。