石井裕之『一瞬で信じこませる話術コールドリーディング』

一瞬で信じこませる話術コールドリーディング
石井 裕之
フォレスト出版 (2005/06/01)

占い師や詐欺師が使う”裏”コミュニケーション術を、一般向けに解説した本。例えば「あなたのお母さんは、死んでいませんね?」といった曖昧な問い「確かに死んでもういません!」「確かに死んでないです!」と、さも当たった(=マッチした)ように聞き手に感じさせ、信頼を得るやり方。悪用すれば酷いことになるが、いい方にも使えるんですよ、というのがこの本のコンセプト。

手法にいろいろ名前がついてるのがなんか必殺技のようで面白い。さっきの否定疑問文でどっちにもとれる質問は『サトルネガティブ』。「あなた左利きじゃないですよね…?」というように使ったりするらしい。他にも「外交的だけど実は打たれ弱いですね」と相反する二面性でマッチさせる『アンビバレンス』、「あなたの部屋に整理されてない雑誌や写真があるでしょう?」と一般的な経験を出す『ストックスピール』などなど、そういやそんな質問あるわ、と納得します。

感心したのが、「あなたは普通の人に比べて情にもろい」というように「普通の人より~」を強調するやり方。「普通の人」となんて、どうやっても比べようがないうえ、誰しも自分は「普通の人」より何か上だと思っているため、マッチしやすいらしい。

この話術は意外と論理的に構成されているので、上級者相手はホント隙がなさそう。怪しい霊能者に引っかからないために手の内を知るのには有効な本ですなぁ。日常生活にどう生かすか、ってのは嘘をつくことになりそうなので、ちょっと課題ですが…