太田忠司『予告探偵―西郷家の謎』

大戦の傷跡をまだ深く残しつつも、人々が希望を胸に復興をとげてゆく時代―一九五〇年の十二月。それは三百年以上続く由緒ある旧家、西郷家に届いた一通の手紙から始まった。便箋に書かれた“すべての事件の謎は我が解く”の一文。その意味する「謎」とは?壮麗な旧家の屋敷を舞台に繰り広げられるおぞましき人間関係、次々と起こる奇怪な事件。はたして犯人の正体は?そして、その目的は一体何なのか…!?

と、amazonの紹介文にあるわけなんですが…いやーこれは面白かった。爆笑してしまいました。あの最終章は作者自身が「さぁ、この本を壁に投げておくれよ!」と明るく誘っているとしか思えんですよ。綺麗な放物線を描けるよに本にちょっと重りをつけたいくらいですよ。

高慢な探偵役と気弱なワトソン役の対比、旧家の諍い、お屋敷と執事と美術品など、本格ミステリのお約束ガジェットをこれでもかと配置して、最後に下にあったテーブルクロスを一気に引き抜くような大オチ。記録よりも記憶に残るミステリがまた一つ誕生しましたよ。ひでぇ~なぁ~(←褒め言葉)