1月 162006
ミステリーともファンタジーともホラーとも思える異色ブレンド作。後頭部殴打により植物状態の主人公。しかし外の世界が見える。殴打時に左眼が飛び出し、外をさまよって映像だけ送っているらしい。左眼によって行き着く、事の真相とは?『カニスの血を嗣ぐ』『石の中の蜘蛛』に続く五感シリーズの三作目、「視覚」。
左眼自身は画を送るだけで自分の意思で動けないのだけど、動物にくわえられたり人の衣服に乗っかったり雨に流されたりしてどんどんあちこち動いていく。しかし移動先には後頭部殴打の真相めいたものがあり、不思議な力が働いているのでは…という展開。高さ3センチから見える世界はどれも巨大で、一種酩酊した描写が面白さを増す。
ラストへ行くにつれて左眼の冒険から主人公・犯人の意識へ話の中心はシフトしていき、そこから人を食った展開へとなだれ込む。まさに「悪酔い」のカクテル。うーん、真面目にミステリと思って読んでたせいかちょっと乗り切れなかったのですが、ぐらぐらする足場を楽しむ本ですね。見えて、見られて、視覚は渦を巻く。
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