P.G.ウッドハウス『比類なきジーヴス』

「参ったなぁ、ジーヴス。いったい君の知らないことはあるのか?」
「申し上げかねます」

主人のバーティーには表向き従順で、どんな揉め事も手際よく解決、でもファッションセンスは譲れない、至上最高執事『比類なきジーヴス』。おもしろいなぁ。語り手は主人のバーティーなんだけど、知的な語り口にみせて中身はおバカなのがたまらん。バカシブ。どんなブサイクにも恋をする友人のビンゴも頭悪すぎ。

だからってバカ一直線に落ちるとたぶんつまらないんだろうなぁ。一線ぎりぎりで踏みとどまる危うさはまさに曲芸師。パターンが一定なのが難と言えば難だけど、新聞の四コマみたいなゆるいマンネリ感まで到達すると味が出てきます。