米澤穂信『犬はどこだ』

米澤穂信流ハードボイルド『犬はどこだ』。元銀行員が社会復帰のために開いた犬探し専門の調査事務所。しかし最初の依頼はOL失踪事件と古文書の解読。しぶしぶ調査を進めると、二つの依頼は巧妙にリンクして…。

熱くもなく悲劇でもない、ニュートラルな再出発を目指す主人公であります。静かなテンションに会話の遊びを乗せる筆力はさすがの米澤穂信でして、安心して読み進められる。

本作しかり古典部シリーズしかり、探偵が徐々に「目を覚ます」様子が描かれているわけですな。かたや本格方面、かたやハードボイルド方面。本作のラストのあの余韻が、探偵の成長に繋がるとなれば、このシリーズの今後も期待大でございます。