大倉崇裕『丑三つ時から夜明けまで』

丑三つ時から夜明けまで
大倉 崇裕
光文社 (2005/10/20)

霊魂が人間に復讐することが、実験によって明らかになった近未来。幽霊による犯罪を取り締まるべく、警察庁は霊媒師やら占い師やらを集めて、実験的に静岡県警に捜査五課を新設。実験期間なので五課の捜査は必ずどこかと合同。必然的に殺人を扱う捜査一課と一緒になり、あげく仲は悪くなる一方で…。

あくまで霊魂にこだわる五課と、あくまで幽霊なんて信じない一課が、不可能犯罪を肴にガチンコ対決。幽霊による超常現象と本格推理的な展開がミックスされて、ホラーでもないSFミステリでもない、なんとも奇妙な味わいの短編集。ちょっと五課の作りがベタすぎ(坊主の大男やら人形を抱いた少女やらがメンバー)なのが難か。ブレザーに丸めがねの少年までいたりしますが。

雪の密室と幽霊出現のルールをうまく絡めた「復讐」あたりが白眉かな。ラストの「最後の事件」に仕掛けがあれど、もうちょっと「あの時!」みたいな効果が欲しかったところ。全体的にライトな仕上がりでございます。