帯には「『文学賞メッタ斬り』の大森望氏も涙!」の文字。鬼が泣いた、みたいな言われよう。いやでもこれホント泣きそうだわー。
雨の日にしか現れない幽霊・千波と、そのマンションに住むことになった渉。見えない千波に怯えているうちに彼女の死の真相を探ることになり、渉が動くことによって少しづつ事実が明らかになるのですが、見えなかった事実が明らかになる度に千波の姿が見え始めるという驚きのルールが判明。しかも足から徐々に。まるで推理の到達度メーターのような展開ですが、姿が完全に見えるようになるイコール謎が完全に解けたことになるわけで、そうなるともしや千波は…と、彼女に惹かれ始めた渉にとっては悩ましいことに。すごい。ミステリ部分の進捗=恋愛部分の進捗に繋がるとは…。
恋愛要素の切なさもさることながら、見落としがちなのがミステリ部分のレッドへリングと伏線の多さ。次々と可能性がつぶされてくように見えて、実は真相の手がかりがそこかしこにばら撒かれている、という理想形にかなり近づいているんじゃないだろうか。外堀が入念に掘られている印象あり。
というわけで、ミステリ要素・恋愛要素、共におススメの一冊。惹かれれば惹かれるほど近づいてくる別れの予感。しっとりと描かれる雨模様。「ラスト2ページの感動」の文句に偽りなし。タイトルもこれしかない嵌まり具合です。
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