北村薫『ニッポン硬貨の謎』

北村薫 and エラリークイーン and 「五十円玉二十円の謎」と来れば期待しないわけにいくまいて、と、未読だった『シャム双子の謎』も読んで望んだわけでございます。結果としてはうーん…まだ読むべきじゃなかったかもしれない…

北村薫がクイーンの未発表原稿を訳した、という設定で文体パスティーシュをしているわけなんですが、3,4ページめくるたびに訳注が挟まって、マニアックな中身をさらにマニアックに解説しているのですが、結果として物語の流れが細切れになってしまって、なんだか乗り切れず。自分が書いた本文に対して訳注で「原文は~だっただが~だろう」等、一人ボケツッコミ状態なのも一因か。エラリー・クイーンが本当に好きで一家言あるくらいの人でないと、訳注のマニアックな部分や、途中に挟まれる『シャム双子の謎』論や、殺人事件の真相の突飛さに乗っていけないのではないのか…。クイーンへの愛で固められた一冊。楽しそうだなぁ。いいなぁ。ずるい、ずるいなぁ。

ニッポン硬貨の謎
ニッポン硬貨の謎

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北村 薫
東京創元社 (2005/06/30)
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