米澤穂信『クドリャフカの順番』

古典部シリーズ3作目。いよいよ始まった文化祭。手違いで200部も刷ってしまった文集を前に愕然とする一同。部の知名度をあげて文集完売を目指すためにあの手この手。遂には学内で起こった連続盗難事件に挑むことに。

前作まで折木の一人称だった文体が、古典部の部員4名の視点で細かに変わる。今まで触れてなかった各人の心中を覗くことができて、キャラに一層深みが増しております。浮き足立った文化祭の雰囲気や、思春期ゆえの諍い等も絡め、あぁ懐かしいな高校時代と浸れる展開。事件はミッシングリンクもので、発端・真相に一理あれど、推理の展開はちょいと飛躍しすぎか。とはいえ、わらしべプロトコルや料理対決などのくすぐりも楽しく、ラストはちょっと苦く切なくの展開はまさに米澤プロトコル。文化祭が終わって一区切りついて、この先このシリーズどうなるのか。私、気になります。