伊坂幸太郎『グラスホッパー』

復讐。功名心。過去の清算。それぞれの思いを抱え、男たちは走る。3人の思いが交錯したとき、運命は大きく動き始める…。クールでファニーな殺し屋たちが奏でる狂想曲。書き下ろし長編。

殺し屋+一般人の三重奏。洒落た文章のセンスは変わらずで読ませはするものの、出てくる悪が気分が悪くなる出来であまり乗れず。伊坂の書く悪人像というのはクレバーに策を巡らすタイプでなく、無軌道で衝動のままに酷い事を平気でする点で「いじめっ子」なので、読んでてあまり気持ちのいいものではない。今回その「いじめっ子」が他作に比べて前に出てるので、うーうーという感じ。伏線拾いもあるが、伊坂にはやっぱりもっと上を望んでしまうなぁ。期待値が高まりすぎたのかしらん…。